私は証券会社で長年個人営業をしてきました。そのときの経験では、ほとんどのお客 様が損をされていました。たまにバブルのようなことがあると一時的には利益があります が、儲かるとそれを全額再投資し、最後には損をしてるお客様がほとんどでした。自己責 任で投資に失敗された方々は、まだ納得がいきますが、大手N証券に騙されて売れ残りの IPOをはめ込まれた方々、CBと抱き合わせでないと売れない株式投資信託を買わされ た小口投資家・・・。枚挙に暇がありません。当時は、そういうお客様になんとかしてあ げられないものだろうかといつも考えておりましたし、微力ながらすこしはお役に立てた とも自負しております。そして、その気持ちは今も変わりません。
その方法として、大儲けはできなくとも、何とか安定的に利益を上げる方法はないか といつも模索しておりました。言い換えますと、時系列で推移する相場というものに確率 論的に安定的に勝利する方法です。たどり着いた結論はテクニカル分析でした。時は1990 年。バブル崩壊の始まりです。1989年末には38,900円だった日経平均が、イラクのクェー ト侵攻で20,000円を割れる激動の相場の中で、テクニカル分析のできるコンピュータ・シ ステムの開発をスタートさせました。当時、トレード・ステーションはあったようですが、 そのようなソフトは知る由もなく、また知っていたとしても高額で手が届かなかったと思 います。従って、全て自前で開発いたしました。最初は、株価のデータベースからで、デ ータベースと基本的なチャートを表示するソフトができたのが1991年の5月の連休でした。 当時のパソコンはまだ記憶装置がフロッピーディスクで画面にチャートを表示するのに、 ガチャガチャうるさく5分位かかるものでしたが、それでもそれまで手打ちで打ち込んだデ ータが正しくチャートになるので嬉しくて、何度もガチャガチャさせてしまったのが、昨 日のことのようです。その後、「酒田五法」に始まり、「中源線建玉法」、「一目均衡表 」、「ギャン・チャート」、「多変量解析」、「フーリエ解析」等を手当たり次第ソフト 化し、試行錯誤を繰り返した結果、クオンツ分析とテクニカル分析のを併用する現在のシ ステムに落ち着きました。
クオンツ分析について一言申し添えますと、まるで万能のように言われておりますが、 クオンツ分析と言えど、過去のデータに依存することは単なるテクニカル分析と変わりな く、コンピュータに負荷をかけた割には出てくるデータはテクニカル分析と大して変わり ない場合も多く、場合によっては、相場環境が使用条件に合わず使えない場合もあります。 ただ、通常のテクニカル分析とは違った側面のデータを提供してくれることも事実です。
話を元に戻しますと、2007年の夏、ある大口投資家から、呼び出され3枚のレポート を見せられました。そのレポートはくだんの大口投資家が資金を出してソフト業界の人に 作らせたシステムの成績でした。正直、ショックを受けました。そのレポートの成績がよ かったからではなく、自前のシステムを開発しておきながら、そのシステムが何の役にも 立っていない(当時は銀行出向)ことに愕然としたのです。それまで、システムの開発に ハードのパソコン、ソフトのOS、開発言語、書籍、そして何よりも膨大な開発時間(お そらく1万時間以上)等をかけていながら、自己満足で終わったのでは一生後悔することに なると思いました。その晩、長年勤めた証券会社を退社し、私のシステムの有効性を世に 問うことを密かに決意いたしました。これが、システム運用投資顧問の設立に至った経緯 です。
最後に、弊店のシステムをご利用いただくことで、投資家の方々の一助となれば幸いです。